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「あ……。すいません。今日は叔父と約束がありまして。」
「あら~残念だわ……。じゃあまたの機会にしましょうかしら?」
「そ、そうですね……。」
(え?もう決定事項ですか?)
「ほぅ!アルハザードと出掛けるのであるか?」
「あ、はい。少し魔法のことで、叔父に相談したら何処かに連れて行ってくれるそうなんです。」
「おお!魔法のことであるか!では、吾輩も同行しようではないか!!」
「バルバトロイ様が!?いいのですか?」
魔界で最多の魔法保持者、アルハザード・ルシファリスに引き続き、2位の座に君臨するのが、このバルバトロイ・バートリッヒらしいのだ。そんな、2大巨頭に見てもらえるなんて、この俺からすれば願ってもないチャンスである。
「あなた、今日は集会があるんじゃなかったの?」
「そ、そうであった!すまぬなグリム。魔法について語り合いたかったのだが、残念である……。」
どうやら俺の期待は、一瞬にして消え去ったようだ。
「『リストレクション』や『空中浮遊』を覚えた経緯も知りたかったのであるが……仕方あるまい。」
「!?」
(俺の魔法がバレてる!?知ってるなら何で、シータという人に言わなかったんだ?)
「安心するがよい。無闇やたらと、人の魔法を教えるものではないからな。吾輩が知っておったのは、エリゼベートが助けてもらった時の話を、興奮しながら語ってくれおったのだ。しかし、流石はアルハザードの甥っ子であるな!その歳で、上級魔法をいくつも行使するとわ!」
「『黒騎士』という人も使えるそうですね?」
(とりあえず、『黒騎士』はバレていないのだから、別人と思ってもらおう。これは、叔父さんと俺だけの秘密だ。)
「うむ。初めて聞く名前ではあるが、その『黒騎士』という人物も大したもんであるな。」
「と、ところで僕はどうしてお城に呼ばれたんでしょうか?」
このまま話を続けていたら、口を滑らせて墓穴を掘ってしまいそうなので、話題を変えることにした。
「そうだったわ!グリムちゃんに相談があったのよ!エリゼが病気になってしまって困っていたのよ!」
「うーむ。そうーでーあったなー。」
何やらバルバトロイの喋り方は棒読みの様に聞こえるのだが、先程のヘルゼの蹴りが効いているのだろうか?
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