第4章 『破壊魔法』デモリション

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バルバトロイが言うように、夜月の魔眼は『石化耐性Ⅴ』であっても防ぐことが出来ないのだ。それが効かないとなると、僕も含めこの場の全員が驚くのも無理はない。 「分からんのじゃ! 兜をしておったので、目をつぶっておったかもしれん……」 「まぁどちらかというと、後者の方が可能性は高そうですね。」 グリムも、スキルのことを何も言ってなかったので、魔眼もしくは目をつぶっていたのだろうと、その時の僕は確信してそう言ったのだ。 「おお! そういえば、何やら変な形の"赤い笛"を持っておったな。それと、そやつには妾の『ミネラリゼーション』も効かんかったのじゃ……。まぁ、そのようないきさつがあるので、そやつにもう一度おうて、魔眼が効いていなかったのかどうかを、確めておきたいのじゃ」 「あ"ぁ"? もう一度会うだ? じゃーなんで賞金首にしやがったんだ?」 アイザックの発言はごもっともであった。『指名手配書』で懸賞金が出ているのであれば、相手を殺してもいいということだ。それでは、夜月の言っている言葉と辻褄が合わない為、彼女が誤った解釈をしているに違いないと思えた。 「何じゃ? アイザックは知らんのか? こうしたほうが効率がいいのじゃと、妾の家臣が言っておったぞ!」 「……。そ、そうなのか!?」 疑問を抱いているアイザックは間違っていない。勘違いをしているのは夜月なのだ。ならば彼女の誤解を解いてしまえば、『指名手配書』は撤廃されるはずであった。 「そっ……」 「それは置いといてである。あの『ミネラリゼーション』が効かないとな? 『石化耐性Ⅴ』を覚えた者か? それともルキフェルのような『石化無効』スキルか?」 しかし、「それは間違いですよ!」と否定しようとした僕の言葉は、バルバトロイに遮られてしまう。彼が言うように、兄には【天性スキル】『石化無効』があるのだ。だが、そんな兄のスキルでさえも、夜月の魔眼である精神的石化は防げなかった。どうやら『石化無効』は、『石化耐性Ⅴ』のように肉体的な石化にしか効果がないらしい。確かにその話も重要かもしれないが、叔父としてはまず甥っ子の安全確保が最優先なのだ。
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