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その名は魔王ルキフェル・ルシファリスだ。
「話は分かった。だが、レフィーナよ」
「な、なんじゃ……?」
「我も、その人物に興味が湧いた。その場合は、別にお主に渡さんでもよかろう?」
(兄さん……。あんたの子ですよ?)
「その場合は……仕方あるまいが、交渉はさせてもらってもよかろう?」
「フハハハハハ! まぁそれは相手によるがな! しかし、面白い奴が出てきたものだな! 我も、その『黒騎士』と戦ってみたいぞ!」
その時だ。
全ての魔王達が、その膨大にして強力な魔法の発動に気付いた。
「な、何じゃ!? この魔力は? 余の知っている『スリロス』ですら、これ程の威力のものはないぞ!?」
「ま、マジか!? 吹っ飛ばされたん俺っちの国ちゃうやんな?」
「それは心配なかろう? 吾輩が見たところ、これは人間界であるな。しかし、こんな強力な魔法を使えるとは……もしや新たな『聖人』であるか?」
「ふぅ~良かったわ~」
「これほどの魔法を行使する『聖人』がいるとおっしゃるのですか?」
「アクスよ。それは吾輩の予想であって、誰が発動させたのかまで吾輩の『魔力感知』でも把握できんであるぞ」
「俺『聖人』嫌いだなぁ……。上級魔法を連射してくるし面倒くせぇ……」
「ヴァン、何言ってんのよ! 『魔法耐性』持ってる『魔神』のが面倒でしょ!!」
「どっちも面倒だろーがよ……」
「それもそうですね……。この魔力であれば、もしかすると『魔神』の可能性もあるかもしれませんよ?」
「またまた~クロス様、冗談キツいですよ!? 俺っち、こんな化物みたいな『魔神』とは戦いたくないですよ?」
「…………」
「ま、マジで言ってますん?」
「バルバトロイ、場所は分かるのかい?」
「う~む。恐らく、人間界の南にある双子島付近であるな」
クロスの質問に答えた親友の言葉を聞いて、僕は居ても立ってもいられなくなる。自分のせいで甥っ子の命を危険な目に遇わせてしまったかもしれないのだ。何かを忘れている気もするが、今はそれどころではない。
「皆、会議中すまない。僕はそこに向かうよ。」
僕は、止めようとする友や、一緒に付いていこうとする兄の声を無視して、すぐさま『空間移動』を使用し、甥であるグリムの待つ人間界へ急ぐのだったーーーーーーーーーーーーー
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