第5章 『運命赤笛』ルベルライトオカリナ

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しかし、その姿は僕の知る同胞のイーグルアイ・ガルウィングと瓜二つであった。まるで、彼女を剥製にして、上から黄金で塗り固められたような作品に見えてしまうのだ。 「ホントびっくりしましたよーっ! 上級の解除魔法でも効果がなかったので、恐らくは『スリロス』によるものだとは思うんですけどねーっ! まず、彼女が弟君に負けるとも思えませんし、他の邪魔者でも乱入したんですかねーっ? 」 「……そうですね。確かにホークアイ君は、『スリロス』を習得していなかったはずですので、第三者の介入の可能性が高いと思います」 「それと、イーグルさんの生死も、さっぱり分からないんですよーっ! まぁ解除出来る方法は、調べておきますよーっ! じゃないと私が、レオさんに怒られますからねーっ!」 「そうですか。宜しくお願いします」 「でも、一番さっぱりなのは、ホワイトさん……貴方ですけどねーっ!?」 「僕……ですか?」 「そうですよーっ! 何故ですかねーっ? 何故ですかねーっ? ジャガーノート魔王国、歴代最強と謳われたリオン・ジャガーノートに圧勝した貴方がですよーっ!? どうして、黒豹なんかに敗北してしまったのかを、私は是非とも聞きたいんですよーっ!」 それは誰も知らない決闘の内容だ。当然知っているのは、自分と前獣人の王だけのはずであった。 「何を……言っているんですか?」 唐突な質問の内容に、僕は動揺を隠すことが出来なかった。 「私は、何か間違った事を言っていますかねーっ? それと、ずーっと気になっていた事がもう1つあるんですよーっ!」 「……何ですか?」 先程の質問もあったので、自然と相手を警戒してしまう。それもそのはず、相手は誰も知らないはずの情報を、何処からともなく仕入れ知っているからだ。 「そんなに構えないでくださいよーっ! 質問しにくいじゃないですかーっ! まぁ、気になっていたのはですねーっ! 貴方ほどの獣人が、自分より弱いレオさんの下に付いている理由ですよーっ! あはーっ!」 「……何の冗談ですか? レオさんを、侮辱しているつもりですか?」
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