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「お? 『石化無効』を持っておるのか!? であれば、そやつは我の息子かもしれんな!? フハハハハハ!!」
しかし、この兄の発言により『黒騎士』の手配書を撤廃してもらう事を忘れてしまうのだ。
「兄さん、そんな訳ないでしょ! グリムもギルハートも昨日は家に居ましたよ?」
「む!? いや昨日は、むぐぐぅぅッ!」
「「「「「「「「「「「「??」」」」」」」」」」」」
兄が言おうとした言葉を察知して、急ぎ口に手を回して阻止する。そのまま耳元で囁くように、グリムが夜遊びしてセラフィムに怒られたのが、一昨日だったと嘘を言っておいた。
「どうしたのだ? 2人共、何かあったのであるか?」
「おお! そうであったな! いや!皆すまぬ。我の勘違いだ」
「いや! バルバトロイ何でもないよ!」
今回は、幸いにも皆がカーテンを下ろしているので、こちらの姿は見られていない。
「夜月よ、待つのじゃ……。余は、その話で詳しく聞きたい箇所があるのじゃ」
その女性の言葉で、場の空気が静まり返った。今まで、ちょっとした小言が聞こえていた会議室が急に無音になったのだ。
「なんじゃ? レフィーナか、どうしたのじゃ?」
五大魔王の1人であるレフィーナ・シルヴァリスである。ハイエルフの守護者であり女性魔導師最強のエルフなのだ。
何故、会議室が静寂に包まれたのか?それは、毎回集会に参加している者であれば、"彼女が自ら話す"というのは驚くべき光景だったからだ。今まで全ての集会に参加していた彼女が、自ら質問したとことなど一切なく、質問されれば答えるといった感じだった。彼女は、まるで全ての事柄に興味がないようなそんな印象だったのだ。
「赤い笛と申したな? どんな形であったのじゃ?」
だが、そんな彼女は何やら夜月の話にとても興味を示している。それも『黒騎士』や『指名手配書』ではなく、関係のなさそうな"笛"に興味を持っているようだ。
「どんな形……と言われてものぉ~。……。おお! そうじゃそうじゃ! スライムみたいな形じゃ!」
「レフィーナ様! もしやあれのことですか!?」
そう驚いた声を出したのは、エルフの守護者であるクロード・シュネーヴァイスだ。
「ま、まさかクリスティーヌ様のオカリナなのですか?」
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