微妙な変化

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エレベーターの中では部長もさすがに口をつぐんでくれたが、一階に着くと再び結婚がどうこうと会話の続きを始めた。 「寂しくならない?正月なんか」 「それほどではないですよ」 むしろ孤独が好きなのに。 僕は誰かと一緒に暮らすのには向いていない気がする。 正月に実家に顔を出しても、親はもうあまり突っ込んでこない。 佑人は昔から感情が薄いからねぇ、と時おりぼやいているが、もう諦めてくれたのだろう。 先に結婚している弟に孫方面の親孝行は任せることにしている。 「今は良くても、老後は寂しくなると思うがなぁ」 部長の結婚推しは続く。 家庭を持つと転職率が減り、人事的には安定するのはわかる。 でも僕はここの社員ではないのだから放っておいて欲しいが。
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