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こんな場合、普通ならこちらから電話すればいいものだが、相手が迷子だと意地悪したくなる。
“どうぞ”
短いのはいつものことで、プライベートで長メールは打たない。
それにしても短いが、不親切極まりないそのメールを打ち返すと、僕は彼女の不貞腐れた顔を思い浮かべつつコーヒーを一口含んだ。
電話はすぐにかかってきた。
「はい」
『あっ、あの、江藤です。夜分遅くにすみません』
「いいですよ」
仕事絡みの目的で彼女との関わりを繋いだけれど、仕事の電話をしている感覚が薄い。
それがいいのか悪いのか分からないが、ゆったりとした気分でソファーに背中を預ける。
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