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「僕は構いませんよ」
「いいんですか?」
構うも何も、こちらは願ったり叶ったりなのだから。
そうとは知らない彼女は、寛大な男を装う僕に感謝の声を上げた。
「避けてもらいたい日を今から言いますので、それ以外なら。メモできますか?」
「はいっ」
「今のところ、の予定ですが」
十二月中旬までの予定を告げてから、僕はあることを思い付いた。
彼女を相方に長時間の演技をするのは少々骨が折れるだろう。
「顔合わせの前に、事前のすり合わせが必要なのでは?」
「へっ?」
僕と必要以上に関わりたくない迷子は、当然ながら乗り気ではないらしい。
「“基本データ”の確認がね。臨機応変にやれると言うなら不要ですが」
しかしそれを見るとかえって僕のSっ気が発動して、嫌味でつつきまわしたくなる。
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