微妙な変化

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江藤奈都に偽装をもちかけてから、しばらくが過ぎた。 セミナー後に食事してから、彼女とコンタクトはとっていない。 東条と堀内美緒が付き合い始めた時期。 堀内美緒は東条の部屋に自由に出入りしているのか。 情報管理について、東条はどのような指導をしているのか、など。 これら彼女から聞き出した情報とこちらの調査結果から、堀内美緒が漏洩ルートであることはほぼ確信していた。 そういう訳で、僕の方からわざわざ用事を作ってまで連絡する必要がなかったのだ。 彼女の恋人役はあくまでも名義貸しに過ぎず、それを彼女がどう活用し、結果どうなるかまでは僕の気にする範囲ではない。 ……はずだったが。 仕事中にふと彼女の顔が浮かぶ時がある。 それは食事の際につい僕が企業人としての自覚の無さについて説教した時の小さく縮んだ彼女であったり、バーで泣いている彼女であったり、色々だった。
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