微妙な変化

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面白いのでそのまま喋らせていると、彼女の言い訳はやはり予想外の方向に走り始めた。 「それに主任が伝票入力を手伝ってくれて」 「主任とは、東条主任ですか?」 「はい。まだ片付いてない本業をやりなさいって、作業を手伝って下さってます」 僕が東条という名前を口にした途端、彼女の目が嬉しそうに輝いた。 頬が子供のように赤い。 「……今?」 「はい!」 要するに、大好きな東条主任と、キャッキャしながら伝票入力をしたいと。 当然だろう。 苦手な嫌味男と砂を噛むような食事をするより、はるかに楽しそうだ。
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