屋上は夜がいい

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「そういえば君、こんな時間にこんな場所で何をしてるんだい?」 仲直りの儀を終わらせた後、二人で座って星を眺めていると、彼女に聞かれた。 俺は学級の奴らに対する気持ちは喋らずに、昼休みに屋上に来てそのまま眠ってしまったことを話した。 「えっ!君昼から寝てたの!?どんだけ寝てんのさー!」 と言いながら彼女はあはははははっと大きく笑った。 自分でも阿呆なことをしたと思っているため、笑われることは予想していたが、ここまで遠慮なく笑われるとあまりいい気分ではない。 「じゃあ先輩はこんな時間にこんな場所で何しているんですか?」 ムッとしながら質問を返すと、彼女は少し驚いた表情をした後ニヤッと不適な笑みを浮かべた。 何かおかしな質問をしただろうかと思い返しながら彼女の答えを待っていると、ゆっくりと夜空を見上げて彼女は言った。 「願い事をしに来たのさ」 「…願い事?」 「そう、願い事。おい変な目で見るな!ふざけてる訳じゃない、こっちは大真面目だぞ!!ここで夜空に向かって願い事を願うと、満月の夜にその願いが叶うらしいんだよ。私はその願い事をしに来た」 「いやいや、そんな簡単に叶うなんて…」 言いかけて、止めた。さっき笑われた腹いせに今度は俺が笑ってやろうと暗躍していたが、俺は彼女を馬鹿にすることが出来なかった。 「叶うんだよ」 夜空を見つめる彼女の顔は、真剣だった。 あまりにも真剣な彼女の表情に、俺は言葉を続けることが出来なかった。
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