02 少女との出会い

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「うん、先生って呼んでた人と同い年くらいの先生の娘さんと3人で暮らしてたんだ。小さい頃の記憶が無くってさ、気が付いたら先生に拾われて一緒に生活するようになったんだ。だから本当の家族のことは何もわからないんだ。」 「そっか・・・、ごめんね」 軽く話すつもりが、踏み込んではいけない領域に入ってしまったと思い、少女は気まずそうに謝った。青年は少女のそんな気持ちを払拭しようと気にすることはないと言ったが長い沈黙が続いた。しばらく少女は考え込むような表情をしていたが、何かを決断したのか不意に顔を上げた。 「君、もし行くところの当てもないんだったら私のギルドに来てみない?」  少女からのそんな提案に、このまま少女に甘えてばかりでいいんだろうか、本当についてしまっていっていいんだろうかと青年は少しの間悩んだ。すると少女が続けた。 「そんなに大きなギルドじゃないけど、お姉ちゃんがマスターをやってるんだ!だから話せば大丈夫だよ!そうすれば仕事も見つかるだろうし、ね?」 青年は少女にまた気を使わせてしまったかな、と後悔したがこのままいても行き詰まった現状を変えられないと思い、立ち上がって是非、と返事をした。 「私メルト!君は?」 満面の笑顔で聞いてくるメルトに青年はウィルと自分の名前を言った後に歩き始める彼女の横に並んで、その向かう先「ギルド~シャムロック~」までついて行くことにした。
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