03 小さな幸せの街

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03 小さな幸せの街

春風のような陽気で優しい雰囲気に包まれた少女メルトの半歩後ろに空腹を満たしたウィルが続く。今まで見ていた景色と何も変わらないはずなのに、気持ちに余裕ができたためかより街並みが活気づいているように感じる。しかし、そう感じているのはウィルの気のせいという訳ではなく、一緒にいるメルトによるものだとすぐに気付く。この街においてメルトの顔は相当広いようで、道行く人々や通り過ぎるお店の人から「メルちゃん今日も元気だねー!」「お、遂に男を連れて歩くようになったんかい!」などと声がかけられる。そんな声にメルも「おばちゃん、こんにちはー!」「えっへへー、そうだよ!なーんてね!」などと明るく返す。そのような光景を見ながら青年は少女についてまるでこの街のマスコットみたいだな、なんてことを考えていた。そのようなことを考えていると、ウィルの思考を読み取ったかのようにメルトが話し始めた。     
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