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この青年もオーパーツに関する情報を収集するため、同じような目的を持った人々が集まるであろうこの街に10日ほど前にやってきた。しかし、貿易ギルドで情報が商品として扱われているようにタダで教えてくれるような奇特な人はいなかった。冒険ギルドに加入することも試みたがどのギルドでも”ギノウケンテイ”というものを要求してくるため”ギノウケンテイ”が何なのかもわからない青年は加入することが叶わなかった。
次第にお金もお腹も余裕を無くしてきた青年はどのようなギルド、仕事でもいいからひとまずお金を稼ごうと思い、手あたり次第ギルドにあたったり街の総合掲示板に貼られていた依頼書を眺めて依頼主に話を伺ったりしたが、全て”ギノウケンテイ”が無いという理由で断られてしまった。そしてどうすればいいかわからずお金が完全に尽きてから2日、今に至るというわけである。
そんなわけで青年はこうして往来の片隅で途方に暮れていた。
「俺、このままだと死ぬかもしれない・・・」
誰かに聞いてほしそうな独り言は虚しく往来の喧噪にかき消された。あまりの空腹に何もする気力も湧かなかったため思考を働かせることさえ放棄してただ虚空を眺めることにした。それから空腹で胃が痛くなるのとそれが収まるのを3回ほど繰り返したところで不意に声をかけられた。
「君、大丈夫?」
青年が見上げると透き通った蒼い空のような色をした綺麗な髪の少女がこちらを見ていた。心配そうに首を傾げる少女のその仕草に、肩の少し上くらいまである短めの髪がその髪と同じ色の瞳を見え隠れさせていた。
「ちょっと仕事が全然見つからなくてね。もう3日間何も食べてないんだ・・・」
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