11人が本棚に入れています
本棚に追加
大きな目を吊り上げ、ぷっくりとした唇を真一文字に結び、真剣な顔で頬染めて真っ直ぐに見詰めて力強く言い放つ。
「オレ、女になる」
「……は、い?」
「オレ、女みたいに可愛い物とか好きじゃねぇけど、体が女ならもう嘘つかなくていいんだよな。
昔っから自分が可笑しいって判ってたんだ、でも認めたくなくて手をあげてた……だってオレ、1度も女を好きになった事ねぇもん」
可愛いと思った事はある、とブツブツ呟きながらワンコは自分に言い聞かせるように恥ずかしそうに目を伏せて話し、ゆっくりと呆気にとられる俺を見上げる。
その瞳が外灯の薄灯りの中で揺らめいて思考を惑わせてくる───確信犯か?!と思わずにはいられない。
「ちょっ……ワンコ……」
「オレが女になったらお前、嬉しいだろ?」
俺の理性と意識が遠~くに弾けて消えた……
ああ、バレてたのか……夜空なんかにバカな願いを唱えたからこんな事になったんだな……
ありがとう、お星様!!
「オレ、治療受けてボインボインになるからな!待ってろよ、ユウゴ!」
なんてはにかんで笑うワンコに勝てる訳もなく打ちのめされて、俺は自分より腕っぷしのたつ最強に可愛い彼女を手に入れた。
これから俺とワンコの新しい関係が始まる───
そう思うと照れ隠しで腹に喰らわせてくる右ストレートも、何故か噴き出す鼻血も悪いもんじゃない……か。
~fin~
最初のコメントを投稿しよう!