第1章

9/13
前へ
/17ページ
次へ
「まあ……本来でしたら出産時に判別される性別ですが、両性具有者は成長段階ではっきりと判別出来る形となる事も多く、ハジメさんのように男性器が発達した形であれば男と認識されるのも致し方ないでしょう。 正確な診察を受けてみる必要はあるものの、ハジメさんは体内に卵巣と子宮を備えており、男性としての機能、つまり睾丸が未発達で精巣が機能しないのであれば女性として妊娠の可能性もあり得るので、生理、つまり月経が起こるのも当然といえば当然の事なのです」 淡々と話す医師の声に、俺は半開きにした口を閉じる事も出来ず立ち尽くしていた。 俺がそうなのだからワンコなど気絶していても可笑しくはない。 が、ワンコは背筋を伸ばし医師を直視したままその言葉を耳に、頭に流し込んでいた。 「今は治療次第で体つきも女性となる事が出来ますし、男性として居続ける事も可能です。 が、その場合、恐らくハジメさんは精巣機能が未発達だと思われますので不妊となるでしょうが……」 1度正確な診察を受ける事をお勧めします。家族や身近な方とよく相談するのが一番だと思われます。 と括られた話に俺たちは静かに頭を下げて病院を後にした。
/17ページ

最初のコメントを投稿しよう!

11人が本棚に入れています
本棚に追加