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その後、彼女と付き合ってたけど、別れて、日本の大学に行くことに決めて、日本に戻って来たそうだ。
「ふーうーーん、あ、そって感じっ」
木綿は、自宅に一人戻り、自分の部屋にカバンを乱暴に置く。
慌てて、カバンからお弁当箱を取り出して、キッチンで丁寧に洗う。
忙しい叔母さんが、毎日お弁当を作ってくれる。
感謝。
本当はお父さんが受け継ぐはずだった理事の仕事を、お父さんがカナダで交通事故で亡くなって、お祖父ちゃんから、叔母さんに渡った。
本当なら、お兄ちゃんの翔がいるのに。
親戚から大反対された彼女と駆け落ち同然に、どこかに行ってしまった。
あたし、ひとり。
カナダにいることもできず、日本へ、名古屋の叔母さんのところに来た。
好きでいる訳じゃ、ない。
カナダにいれば、ジャパニーズで。
日本にいれば、ガイジンで。
英語の先生よりも、発音がきれいで。
ぜんっぜん、面白くない。
クラスメイトとも、共通の話題が見つからない。
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