他者の思惑

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理事室に入るなり、鞄が飛んできた。 サッカーで鍛えた動体視力で、思わずヘディングしてしまうのを、ギリギリで避けた。 「避けるのが遅っ」 昔はそんなじゃなかったのに、すっかりおじさんね。という顔。 「まあ、落ち着け」 「パフェでもおごってやるから」 「ああ、買収」 軽蔑した顔。 「たった3年、生徒会にいるくらい」 「大したことじゃ、ないだろ?」 「あたしは、一秒だって無駄にはしたくないの」 そもそも。 「叔母さんの学校じゃなくて」 「フツーの公立行けば良かったのに」 木綿が、ギッと睨み付ける。 こえー、チョーこえー。 「うっさい、わねっ」 木綿が足音をたてて、理事室を出ていく。 理事室を出ていく際に、汚い英語を吐き捨てる。 「お嬢さんが使う言葉じゃないって」 というか、俺らも使うなって言われてる言葉。
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