とりあえず、出会わなきゃ

7/7
前へ
/27ページ
次へ
クラスの担任と副担任の挨拶が終わり、教科書の配布、時間割りの配布と続いて、高校生活が始まっていく。 担任の野村先生の補佐をして、初日が終わった。 職員室に戻って、自分の担当科目の授業の準備をしていると、放課チャイムが鳴って、一旦終業となる。実際は、自分の授業の準備が終わらなければ帰れないが、今日は初日。 はー、終わった。 ちょっと、塾講師のバイトをしていた頃を思い出す。 理事に挨拶して帰ろうと、理事室に向かう。 こんこん。 「どうぞ」 女性の声がして、室内に入ると、 「Hi」 「kazuki」 英語で挨拶してきたのは、 「ゆう」 「You look so grate.」(元気そうだね) 木綿(ゆう)は、不満そうに、 「日本にいるなんて知らなかった」 いう。 「ちょっと、頼まれちゃってね」 「叔母さんに?」 「ああ、理事に」 ふうん、と呟く。 「ね」 「翔(しょう)はどこにいるか、知らない?」 来た。これも想定済み。 「君のお兄さんがどこにいるか」 「わからないんだ、ごめんね」 「そう」 木綿は理事の部屋を出ていってしまった。
/27ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1人が本棚に入れています
本棚に追加