第1章 変わる

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「なんか用?」 「んー、なんとなく」 「ふーん」 「あの首飾り、まだ持ってたんだな」 「ん」 相変わらず布団から出ようとしないまま、咲が俺に声をかけてくる。感傷の余韻が残っているせいで、なかなか開かない口から、ぽっとそんな言葉が出た。 「青。好きだから」 「ああ、そうだったな。お前昔から青好きだよな」 初めて行った海で見つけた青い貝殻。珍しくて咲にあげたら、すげえ喜んでくれて、おばさんが咲のために首飾りにしてくれたんだったな。 ぽん。 ん?そんな昔のことを振り返っていたら、突然頭の上に違和感を感じた。 この感触は、たぶん、咲の手だと思う。 咲に声をかけようとする前に、咲の手が俺の頭を撫で始めた。 少し震えているのか、優しく、壊れ物を触るみたいに俺の頭を触る手が、心地良くて、俺はそのまま身を預けた。 そのまま咲の優しさに浸っていた俺だったが、俺は今、思ってた以上に弱っていたらしい。昔の思い出がまた頭の中に浮かんできた。 「なぁ咲。あのさ、良かったら……」 小さい頃、俺は泣き虫で、そんな俺の頭を咲はよく撫でてくれた。それでも泣き止まない時は咲は優しく、俺の身体を抱きしめてくれた。     
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