第2章 違和感

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『可愛くねーからそんな格好もうすんなよ!』 あれから何年たった今も、その言葉が私の頭から離れない。 * 「じゃあ、俺達のクラスでは抹茶喫茶をする事にしまーす。よろしくー」 クラス委員長の声に、クラスのみんなも間延びした返事をする。 「抹茶喫茶かぁ。私和菓子より洋菓子派だわ」 「うちは結構和菓子好きやよ」 「しかも浴衣かぁ。どうせ着るならやっぱメイド服が良かったなぁ。いいネタになるし」 「あー、それは言えとるね。ん、けど咲ちゃんは厨房係りやから、浴衣も着いひんのやね」 「えー。3人で写真撮りたかったのに。咲もフロア一緒にやろうよ」 「あかんよなっちゃん。咲ちゃんおらんかったら、誰がお菓子作るん?」 「ちぇ。じゃあ、3人で打ち上げやるとき着せよ。なんだかんだ咲の浴衣姿みた事ないからみたいわ」 「それいいね!そうしよそうしよ!ね、咲ちゃんいいでしょ?」 「ん」 そう返事をした後、私は少し顔をうつむかせた。小さい頃、誰かに言われた言葉に傷つき、それから浴衣を着なくなってしまった。あれから成長して、こういうのは似合ってるとかではなく、その場の雰囲気に合わせるのが楽しいのだと気付いた。けど小さい頃のトラウマはなかなか消えない。やっぱり浴衣を着るのは怖かったけど、二人なら大丈夫。そう思って、私は再び顔を上げた。 ちなみに幸のクラスはディズニー喫茶らしい。他の生徒達が話をしているのを聞いた。ディズニーの王子様やお姫様に扮した生徒たちと、これまた王子様やお姫様に扮したお客様がお茶会をするという設定だ。幸のクラスには王子がいるから、きっと大忙しだろう。 私も、せっかくだから厨房係頑張ろうと思う。
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