第2章 違和感

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「うわぁ。俺王子役とかキャラじゃねぇ」 「まぁな。幸が王子とか、確実に国終わるだろうな」 「確かに。でもお前黙ってればそんなに悪くねぇんだから、とりあえずずっと笑っとけ」 「おー...」 今年も文化祭の季節がやってきた。俺達のクラスはディズニー喫茶。そして俺はなんと王子役。 俺そんな柄じゃねぇのに、ちゃんとできるかスゲェ心配。 「あ、つかA組お化け屋敷らしいんだけどさ、なんでも好きな子指名して一緒にお化け屋敷入れるらしいぞ」 「まじかよ。じゃあ俺美咲ちゃん」 「ばか、人の女に手ぇ出すなよ」 「いいじゃん。幸ばっか幸せでずりぃだろうが」 「そうだそうだ!あ、でも俺、B組の抹茶喫茶も行きたいんだよなぁ。なんでも、水樹ちゃんの浴衣姿が見れるらしいし」 「まじかそれ。俺も行くわ」 「水樹ちゃんは顔もスタイルもいいけど、それに加えて飾らない方言がまたいいんだよなぁ」 「あーそれ分かるわ」 文化祭の準備をしながらいつもの奴らと話をしていると、咲達のクラスの出し物の話になった。咲達は抹茶喫茶をやるのか。毎年文化祭の時は咲のクラスにも遊びに行く。抹茶喫茶ってことは、また咲が作った何かが食べられるかもしれない。楽しみだ。そんな事を考えていたら、憂鬱だった気持ちが少し回復した。 「よーし、働くかー」 「幸くーん、こっちお願いしていいー?」 「おー」 それから文化祭準備で忙しい日々が続いた。帰る時間も遅くなって、美咲と一緒に下校できない日々が続いた。けど変わらず、登校は一緒だし、昼休みも一緒に食べるしそこそこあえてる。けど、咲には全然あえていなかった。咲には下校の後に俺が咲の家によって話す事が多かったから、準備で帰る時間が遅くなってから、会いに行く時間が無くなってしまった。きっと咲も遅くに会いに来られても迷惑だろうし。
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