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「いらっしゃいませー」
「おー水樹ちゃん。いいねー浴衣、すげぇ似合ってる」
「ほんま?ありがとう。幸君もスーツ似合っとうね。格好いいから目立っとうやん」
「いやいや、俺なんか高橋の足元にもおよばねぇよ」
「そうけ?私は幸君には幸君の魅力がある思うけどね。あ、あそこの席あいみたいやから、案内するねー」
「あ、宜しくお願いしまーす」
その後、早速咲のクラスにきてみた。けど、厨房担当だと言っていた咲は、やはり見当たらなかった。
「抹茶とどら焼きやね?ちょっと待っとってね」
「はーい」
客もそんなに多くなくて、落ち着ける場所で、咲には会えなかったけど、ここにきて良かった。
しばらく店内のBGMを聞きながらのんびりしていると、頼んでたものが届いた。
「ご注文頂いた抹茶とどら焼きです」
「あ、ありが…」
聞こえてきた声が、昔から聞きなれている声で、俺は思わず返事半ばにし、相手の顔を見た。
そこには、浴衣をきた咲が、テーブルの上に商品を並べていた。
まだ俺には気づいていないようだ。
小さい頃に、咲の浴衣姿を一度だけ見たことがあったが、それからなぜか咲は祭にも浴衣を着てこなくなってた。だから、咲の浴衣姿を見るのは久しぶりだった。
咲の白い肌にあった、白い浴衣。咲の好きな青色のりんどうの花が描かれた浴衣は、咲にとてもあっていた。
「ご注文は以上で…」
と、商品を並び終えた咲がやっと顔をあげ、俺に気づいた。
「よ」
咲の普段と違う雰囲気に、ちょっと照れながら、いつものようにそう声をかける。
咲は俺の声かけに返事をする事もなく、失礼しますと小声でいうと、駆け足で俺の前から消え、教室から出て行った。
ちょ!なんで逃げんの?!
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