第3章 気付く

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「じゃあ咲ちゃん。これからよろしくね」 「ん、こちらこそよろしくお願いします」 王子と咲。珍しい組み合わせに、クラスは二人の会話にさりげなく注目していた。 王子が指揮者だと、伴奏を立候補する女子は多かった。その時の女子の目は忘れられない。このままだと、暴力事件も起きかねないと判断した先生は、王子に興味のないであろう数少ない女子の中から、去年も伴奏を務めた咲に目をつけた。咲も先生の必死なお願いを前に断る事が出来ず、承諾したらしい。 咲なら王子を取られる心配はないと判断した女子達は、少し不満ながらも納得してくれ、先生達はほっと胸をなでおろしたらしい。 それにしても咲、高橋と目合わせねぇな。もともと人見知りだし、しょうがねぇか。 それからちょくちょく、咲と高橋が話をする様子を見るようになった。放課後は、一緒に音楽室で練習してるし。まぁ、練習に付き合うという名目で、いつも数名の女子達も一緒だが。 咲も高橋に慣れてきたのか、高橋と目を合わせるようになったし、会話の途中、笑うようにもなった。もともと咲は人見知りなだけで、人と関わるの好きだし、高橋は男女問わず人たらしなところあるから、二人が仲良くなるのも分かっていた。 この頃、咲と話してねぇな。
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