第3章 気付く

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「というか咲ちゃん、意外と手小さいよね。ピアノ弾くとき大変じゃない?」 「うん、指届かない所とかは、ちょっと楽譜変えてる」 「そうなんだ。ちょっと手出して」 高橋がそういうと、咲は素直に手をだした。高橋はその手に自分の手を重ねる。 どくん 心臓から嫌な音がした。 「ほら、俺よりこんなに小さい」 「ほんとだ」 「というか咲ちゃん身長も小さいし俺より小さいのは当たり前か。ほら、耳とかも」 高橋はそう言いながら、咲の顔へと手を伸ばした。 高橋と咲の距離が近づく。 どくん どくん 俺はとっさに咲の手をひいた。 「わっ」 咲は俺の方へ倒れこみ、俺は咲を抱きしめる形になった。 高橋も咲もきっと驚いているだろう。俺も驚いてる。けど、咲を離したくなくて、高橋に渡したくなくて、俺は咲を抱きしめる力を強める。
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