第3章 気付く

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まぶしい朝日に叩き起こされ、目を開けた。 目を開けた時、俺の心は平静だった。 なぜか重くだるい体を起こし、窓の外にふと目を移した。 そこから見えた咲の部屋。それが視界に入った途端、一気に昨日の渦巻いた感情が心に流れ込んできた。 思わずため息をつく。けど、このままゆっくりしてもいられない。俺はとりあえずベッドから学校へ行く準備をした。 「はぁ」 「お、幸が一丁前にため息ついてるぞ」 「どうした幸。昼飯でも忘れたのか?」 「……違うわぼけ」 「うわ、まじ元気ねぇな。あれだ、テストで全教科赤点取った日以来、いやそれ以上の落ち込みようだな」 学校へついてからも心は晴れなかった。 「はよー」 「おー王子様。今日は遅い出勤ですね」 「どうせ沢山のお姫様のお相手してたんだろー」 「ほー?そんな事言う奴らには、今日の現国の課題見せてやらねーぞ」 「王子様、今日もお会いできて光栄です」 「私もでございます王子様」 「おー苦しゅうないぞ。お、幸おはよう」 そんな中高橋も登校してきた。昨日の今日で、あまり高橋の顔を見たくなかった。 けど、高橋はいつも通りだった。さすが親友。あまり気のりはしなかったが、昨日の事を話さなければいけないと思って、俺は高橋に声をかけた。 「……おう、はよー。なぁ高橋、ちょっといいか?」 「ん?いいぞ」
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