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「ほんと好きだよなお前は、咲ちゃんの事。彼女が俺と一緒にいた時は落ち着いてた癖に、それが咲ちゃんだとこんなになんだからさ」
ほんとだ。よく考えてみたらそうだ。俺、美咲が高橋と一緒にいる時は仕方ないって思えたけど、咲が高橋といる時は、仕方ないって思えなくて、何がなんでも咲を手離したくなかった。
俺は高橋のその言葉で、ずっと気づかなかった何かに気付いたような気がした。
「……俺、咲の事好きなのかな」
「何言ってんだよ。今更すぎるだろ」
「だから俺、高橋と咲に仲良くしてほしくないのかな」
「いや、幸の場合、咲ちゃんが相手だったら俺だけじゃないだろ」
「俺、咲だけは誰にも盗られたくないんだ」
「ああ」
「咲は人見知りでさ。ちょっと消極的な所もあるから、俺が隣にいて咲を引っ張ってやらないとって、小さい頃から思ってた」
「うん」
「咲の近くには俺がいてやらないと。俺と一緒にいると、咲がよく笑ってくれる気がして。俺、咲が笑った顔が好きだったから。……けど、それは今考えると逆だったかもしれない。咲と一緒にいると、俺自身が良く笑ってた。だから、俺につられて咲も笑ってくれてたんだと思う」
「うん。そこまで言うって事は、やっと気付いたんだな、幸」
「ああ」
そう、気付いた。俺は、咲の事が幼馴染として大切なんじゃなくて、ずっと一緒に二人でいたいと思う意味で好きなんだって。そこまで高橋と話した俺の顔は、いつの間にか上をむいていた。
「幸は気づいてないかもしれないけどさ。小さい頃は、お前よく俺につっかかってきたんだよ。けど、だんだんお前は俺に何も言わなくなって、本当は少し俺、さみしかったんだ。けど、昨日は、お前の気持ちを我慢しないでまっすぐ俺にぶつけてくれた気がして、嬉しかった。きっとお前は、咲ちゃんの隣にいれば、一番お前らしくいられるんだと思う。だから俺はもちろん、お前と咲ちゃんを応援するよ」
「高橋、ありがとう。俺も今回の事で分かった。もう高橋を理由に、あきらめるのは止めるよ。咲の事も、あきらめないで、俺らしく頑張るよ」
「おう」
「そのためにもまず、美咲とけじめをつけないとな」
「ああ、そうだな。それまでは、咲ちゃんにはあわない方が良さそうだな」
「ああ。高橋、本当にありがとう」
「ああ、後でアイスおごれよ」
俺達は笑顔でそう言い合うと、教室に戻って行った。
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