第3章 気付く

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ぴーんぽーん 太陽の熱でこもった空気の中、俺は家のソファーでくつろいでいた。するとそんな間抜けな音が家に響いてきたから、暑さでだるい身体を無理やりおこした。そして、めんどくさいけど、俺は仕方なく家のドアを開けた。 「よ」 そこには、昔から見慣れた顔があった。隣にいつも王子がいたせいで目立たなかったが、綺麗で整った顔をしているこいつは、性格も明るく人懐っこいため、密かにモテる。そんなイケメンがなんでうちのねーちゃんなんかにあんな事をしたのか俺にはわからない。あれか、昔から一緒にいると情が移んのかな。まぁ、何にしても、今こいつとねーちゃんをあわせる気はない。 「今この家は留守です。おかえりください」 「いやいや、さすがにその嘘は無理あるだろ」 俺は細く開けたドアから、そいつを覗き込み、そう言いながらゆっくりとドアをしめようとしたが、間に割り込んできたそいつの馬鹿力により、それは叶わなかった。 「この間はごめんな。今日は咲に会いに来たんだけど、よかったら咲に会う時、たけるも一緒に居てくれないか?」 俺も一緒? その言葉と、幸兄の真面目な表情を見て、ちゃんとこの間の事を反省したんだなと思った俺は、幸兄を家へいれた。
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