第3章 気付く

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とんとん 「ねーちゃん。幸兄きたよ」 「ん」 俺が部屋をノックしながらそういうと、ねーちゃんが返事をしながらドアをあけた。いやもっと警戒しろよこいつ。……まぁ、ねーちゃんもなんだかんだ幸兄が大切だから、ずっと会いたかったんだろうな。 「入って」 ねーちゃんの姿をみた瞬間、幸兄が目を見開き、緊張したように身体を強張らせた。手をきつく握ってる。きっといつもみたいにねーちゃんに近づきたいのを我慢してるんだ。お前は犬か。 「久しぶり」 「お、おう」 部屋に入り、ねーちゃんと向き合う形で俺と幸兄は適当に座った。 するとねーちゃんが幸兄にそう声をかけたのだが、幸兄はねーちゃんとは目を合わせずそう答える。 え、俺この空気の中にいなきゃないの? 「で、幸兄は今日ねーちゃんに何の用なの?」 早くこの場から離れたくて、俺はそう声をかける。 「あ、ああ。実はさ……」 幸兄は下を向きながら、そう切り出した。 「俺、彼女と別れたんだ」 そう言葉を告げた時、幸兄は頭をあげ、向かいに座っているねーちゃんをまっすぐ見ていた。
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