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とんとん
「ねーちゃん。幸兄きたよ」
「ん」
俺が部屋をノックしながらそういうと、ねーちゃんが返事をしながらドアをあけた。いやもっと警戒しろよこいつ。……まぁ、ねーちゃんもなんだかんだ幸兄が大切だから、ずっと会いたかったんだろうな。
「入って」
ねーちゃんの姿をみた瞬間、幸兄が目を見開き、緊張したように身体を強張らせた。手をきつく握ってる。きっといつもみたいにねーちゃんに近づきたいのを我慢してるんだ。お前は犬か。
「久しぶり」
「お、おう」
部屋に入り、ねーちゃんと向き合う形で俺と幸兄は適当に座った。
するとねーちゃんが幸兄にそう声をかけたのだが、幸兄はねーちゃんとは目を合わせずそう答える。
え、俺この空気の中にいなきゃないの?
「で、幸兄は今日ねーちゃんに何の用なの?」
早くこの場から離れたくて、俺はそう声をかける。
「あ、ああ。実はさ……」
幸兄は下を向きながら、そう切り出した。
「俺、彼女と別れたんだ」
そう言葉を告げた時、幸兄は頭をあげ、向かいに座っているねーちゃんをまっすぐ見ていた。
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