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「彼女は?」
「え?ああ、美咲(みさき)の事気にしてんのか?別に気にすんなって。お前と俺が幼馴染みなのはあいつも知ってるし、それに彼女の前で映画みながら思いっきり泣けないだろ?」
そう、幸の彼女の名前は美咲。それも私の気持ちを憂鬱にさせる理由の一つ。幸が私と似た名前を口にしても、その相手は私ではない。しかもそれは、幸が一番大切にしている人。その事実に、私はまだ慣れていなかった。
「そういう所も受け入れてくれると思うよ」
「えー、そうかなー」
「うん。好きな人の事は、色々知りたいって思うよ、きっと」
「ふーん。分かった。じゃあ、美咲誘ってみる」
幸に一つ一つ言葉を渡す度に、ずきずきと痛む胸。今まで感じた事のないこの痛みも、幸のいない日々が日常になれば感じなくなるのだろうか。
「うん。じゃ、おやすみ」
「あ、それとこの間言ってたゲームなんだけどさ」
これ以上胸の痛みを感じたくなくて扉を閉めようとした私だったが、そんな私の気持ちなど知るはずもなく話を続ける幸。けど、相変わらず幸は話しは面白くて、いつの間にか笑顔になって話を聞いている私がいた。
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