48人が本棚に入れています
本棚に追加
「そういえば、今月の夏祭り咲も行くだろ?また待ち合わせして俺たちの秘密の場所で花火見ようぜ」
夏祭り。毎年私は幸と一緒に行っていた。小さい頃は親と一緒に。けど、小学生の時親元からこっそり離れ、たまたま見つけた花火の綺麗に見える場所を二人だけの秘密の場所にした。それからは毎年、二人でそこで花火を見るのがいつの間にか定例になっていた。
「あ、今年は私、祭り行かないや」
「え、なんで?お前、花火毎年楽しみにしてんじゃん」
「今年はその日にお母さんの実家帰る予定なんだ。だから、良かったら違う人とそこで見なよ。折角の素敵な場所だから、秘密にしとくの勿体ないし」
「うーん、まあ、それもそうだな」
けど、今年は二人で一緒に行く気にはなれなかった。だから私は適当にそう嘘をついた。
「ん。それじゃもう10時だから寝るね。おやすみ」
「うわ、もうそんな時間?おう、おやすみ」
その後、幸を見送った私は部屋へ戻った。
次の朝起きたら、昨日の夜風にさらされたせいか、少し熱が出ていた。
最初のコメントを投稿しよう!