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「今年38歳で20歳のお子さんが居てるの。でも結婚したのは23歳の時なの。これどうゆうことだと思う?」 ある日の晩、突然結が俺に問いかけた。 「出来ちゃったけど大学卒業して就職して落ち着くまで待ったか、連れ子か、養子」 俺は可能性のある例をあげる。 「誰の話?」 「あぁ、会社の人」 「男?」 「うん」 結の腕を引っ張り抱き寄せた。 「どうしたの?」 「その男に興味あるわけ?」 結が男の話をするのは珍しい。 何かあるのか? 「違うよ、ないよ」 ぎゅっと抱き締め返して俺を見上げる目に、嘘は見当たらない。 俺の思い過ごしか? 唇を重ね深く長くキスをする。 「明日休みだろ?泊まってけば?」 そう言うと結は微笑んで俺の胸に顔を埋めた。 誰にも渡さない。 結は俺のものだ。 勘のようなものを感じたのは間違いない。 でも危機感は感じなかった。 結が俺から離れるなんて絶対ないとなぜか自信があったからだ。 どこからその自信が来ていたのかはわからない。 でも俺は、多分、結に甘えていたんだ。 ―ゴールディンウェークを目前に控え、順調に行っていたはずの仕事の方が急にバランスを崩したみたいに狂いはじめた。 浮き沈みはあるとはじめからわかっていた。 先輩からもそう聞いていた。 焦りは禁物。 足掻きも禁物。 わかっていたのに、俺のとった対策は多分焦りからだったんだと思う。
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