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次の策、次の策と進めていっても事態は好転しなかった。
物凄い勢いで金が動き、消える。
海外の取り引きもしていると、寝る間もなかった。
ヤバいと思いながらも、こうすればと期待を持ち、そしてまた泥沼にはまる。
気づいたら底無し沼におちたような事態になっていた。
一人頭を抱えてデスクに伏せる。
LINEの新着を知らせる音。
【元気?ちゃんと食べてる?】
結からのLINEだった。
結の顔が頭をよぎる。
俺は返信できずにまた頭を抱えたまま伏せた。
助けてくれなんて格好悪くて言えない。
失敗したと言えば結はどう思うんだろうか。
がっかりしてまた悲しませるだろうか。
そう思えば思うほど取り返さなければとパソコンに向かった。
ボロボロになって、結のLINEに返事をしていないのに気づいたのは朝だった。
【仕事がんばれ】
元気だよと嘘もつけなかった。
気づいてくれ、助けてくれ…
そう思わずにはいられなかった。
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