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ゴールデンウィーク中、特に対策なんて取れなかった。
とりあえず有り金を全部それに当てた。
無職の俺に金を貸してくれる所なんてまともなところではない。
それでも借りないわけにはいかなかった。
通帳残高が0になり、借金を背負う。
こんなはずじゃなかった。
俺は結構上手く生きてきたはずだった。
"おまえ人生なめてるだろ?"
いつか、言われた言葉が頭で木霊する。
―結の着信があったことをスマホを見て知る。
少し前の着信だ。
今日会えるかもしれないと思いながらコールバックする。
呼出しを暫く聞いて結の声が聞こえた。
「結、電話したろ?」
聞いてみると、彼女のお母さんが事故に遭ったらしい。
今は手術中で、結は会社の人の車で病院に向かっていると…。
俺は結に話せない苦しさと、自分の余裕のない現状に、結の不安や心細さを汲んでやれなかった。
親身になってやれなかった。
それが、今も後悔として残っている。
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