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俺はとにかく何も出来なくて、酒を飲んで現実逃避した。
そしたら忘れて眠れた。
それを繰り返す。
昼過ぎに目覚めると、結からLINEが来ていた。
手術成功の報告だった。
時間を見て、随分長い手術だったんだと思った。
俺が思った以上に、重い状態だったんだろうか…
今、心配したところでどうにもならない。
それに、俺は今の現状を何とかしなきゃならない。
400万足りない。
消費者金融しかない。
鏡に映る自分の哀れな姿に笑えた。
ずっと、人生なんて簡単だと思ってた。
日本最難関と言われる大学を出て、就職にも困らなかった。
どこで踏み間違えたか、自分が堕ちていっているのは何となく気づいていた。
これ以上堕ちるわけにはいかない。
俺は実家に帰って、金を借りようと思った。
新幹線を乗る金も、今は出せなかった。
時間だけはある。
俺は鈍行で東京から地元の静岡に向かった。
ついこの前までは、出張にもグリーン車を使って移動していたのに。
人間の転落はすぐなんだと思い知る。
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