2950人が本棚に入れています
本棚に追加
/75ページ
暫く探しても見つけることは出来ず、俺は一度自宅に戻った。
何度かけても結は電話に出ない。
鞄や靴を取りに帰ってきてるかもと思ったが、結の姿はなかった。
もしかしたら、友達の家か?
地元が一緒の内野舞が、確かこっちで旦那と暮らしてるはずだ。
スマホからアドレスを探す。
だけど、登録はなかった。
会社の同僚や先輩も知らない。
そう言えば、最近アイツの話を聞いたりしてやってなかった。
流石に濡れたままでは身体が冷えてきて震える。
とりあえず風呂に入って、着替えて、結のマンションに向かうことにした。
少し間をおいては、電話をしたけれどコールばかりで出る様子はない。
結のマンションに到着しても、帰ってきてる様子はなかった。
カギは持ってるものの、この状況で部屋に入って待つわけにもいかず、俺は結の部屋の扉の前で彼女を待つことにした。
隣近所の人が出入りして、俺を怪しむ目で見る。
だけど、帰るわけにはいかなかった。
このまま結を失うわけにはいかない。
謝ったら結なら許してくれるはずだ。
きっと、びしょ濡れになって帰ってくる。
そう思って待ち続けても結は帰って来ない。
どこに居るのだろうか…
どこに?
ふと、前に結が話していたことを思い出す。
"今年38歳で20歳のお子さんが居てるの。でも結婚したのは23歳の時なの。これどうゆうことだと思う?"
結が会社の男の話なんてするのは珍しかった。
まさか?
いや、相手は既婚者だ。
結の性格上、不倫なんてするはずない。
そう思い直す。
一人で待っていると色々考えてしまう。
いつの間にか雨は止み。
いつの間にか朝を迎えていた。
結は帰って来なかった―。
最初のコメントを投稿しよう!