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こんなにも気持ちが不安なまま、結の連絡を待つのははじめてだった。
スマホを肌身離さず身に付けて、いつ連絡が来てもいいように待った。
今日は来ると思っては、来なくて。
明日来ると思っても、来ない。
待ってると言った手前、こちらから連絡するわけにも行かないと思ったり、今しなくてはいけないのではと、思ったり…
一人で待つ時間は、俺を不安に陥れた。
結のことを考えれば考えるほど、あの男が脳裏にちらつく。
また不安になって、苛ついて、落ち着かせる為にアルコールに手を出す。
でも、いつ結から連絡があるかわからない。
今回ばかりは酔って行くわけにはいかない。
またアルコールのせいで感情が高ぶるかもしれない。
伸ばした手を、引っ込める。
そうだ…
このところおかしいのは酒のせいだ。
俺のせいじゃない。
酒がダメなんだ。
酒さえ飲まなければ、結とは元通りになる。
俺の思考回路は完全に崩壊していた。
本当にそう信じて待っていると、結からLINEがきた。
【話し合いたい】
それを見て、俺は急いで着替えて出掛ける準備をする。
ちゃんと謝ろう。
そして約束しよう、もう絶対しないと。
何もかも上手くいかなくてこうなったこと。
きっと結は許してくれる。
結だけはいつも俺をわかってくれる。
今までも、
これからも。
俺は急いで結の家へ向かった―。
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