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どうしてこうなった…? 結、お前はいつも俺の側に居てくれた。 そこらの女とは違う。 俺をわかってくれていた。 ダラダラした関係だったけど、居心地いい関係だったろ? 結婚なんて騒ぐこともないし、自由な俺をいつも待ってくれてたじゃないか。 どうした?突然… 俺は結の部屋を見渡す。 目に止まったのは、テーブルにあるハイブランドのケース。 そこにはシルバーに光るペンがおさめてあった。 プレゼント包装を解いたままの状態。 「誰からだ?」 俺は側に寄ってペンをとる。 「それは…会社の人に…貰ったの。返して」 こんな高価なものを? 会社の人? 脳裏にちらつくあの男。 この前の朝に一緒に居た男? 「この前のアイツか」 俺の頭で点と点が繋がる。 そうか、アイツか。 アイツの存在が結を変えたのか? 「アイツと付き合ってるのか?」 俺の問い掛けに結は大きく横に首を振る。 さっきよりももっと、身体中が熱を放つような怒りを感じる。 「あの夜もアイツの家に居たのか?」 俺はペンを持ったまま結の左手を掴む。 「何もない!」 アイツと居たのか。 「自分がそうだったからって、疑わないで!」 だから結は俺を捨てるのか。 「私はやましいことは一切ない!」 ほざくな!!!! 結を壁に突き飛ばし、右手に持ったペンを勢いよく彼女とギリギリのところで壁に突き刺す。 満身の力で突き刺したペンは、壁にしっかりと食い込んだ。 「俺は別れない」 震える結に俺はそう言った。 結の額は赤く内出血したように腫れていた。 怯えたように見る目と、その額にハッとして俺は全てを離して立ち上り、玄関に向かった。
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