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結に手を出してしまった現実を忘れようと、矛先をあの男に向けていた。
既婚者のくせにちらつくあの男。
それにフラフラする結が悪い、と話をすり替えて考えた。
頭の中のどこかで、自分の考えがおかしなことは気付いていたけれど…それに目を背けた。
結を離したくなくて、それだけで頭がいっぱいだった。
とにかく結の気持ちを繋ぎ止めて、落ち着いたらきっと元に戻る。
そう思うしかなかった。
結のことを考えると、あの男を思い出して、あの男を思い出すと、不安に襲われた。
もしかしたら、二人で居るかもしれない。
そう思って結の家に確認しに行く。
まだ帰って居ないことを確認して、ホッとした瞬間、外で二人でいるんじゃないかと疑う。
俺は自分のしたことを棚に上げて、俺は結を疑う。
帰ってくるまで、顔を見るまで、安心なんか出来なかった。
俺は結の帰りを結のマンションの前で待つ。
仕事で遅くなってるんだろうと思いたい気持ちと、疑う気持ち。
自分で確認したくて何時間も結を待った。
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