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もうすぐ日付が変わる。
こんな遅くまで仕事を?
あの男と一緒じゃないのか?
いや、きっとイベント前で忙しいんだ。
そんな風に思っていたら、車がマンションの前に停まった。
目を凝らしてよく見る。
助手席に結の姿をすぐに見つけて、運転席にはあの男が居た。
結が俺を裏切った。
頭が、身体が、心が、そう判断した。
フラフラと立ち上がり、鉛のような重い足を上げて、俺は瞬きもせずに結の姿を見つめて近寄った。
結が車の扉を開けた瞬間、俺はすかさず彼女の左腕を掴んで引っ張り寄せる。
「人の女に手出さないで貰えます?」
助手席のドアから運転席を覗き威嚇する。
男は俺を見た瞬間、シートベルトを外して運転席から出てきた。
俺は苛立ちを車のドアにぶつけて閉める。
「こんな遅くまでふたりで何してた?」
俺は結の左手を掴んだまま乱暴に引き寄せて聞いた。
「気晴らしにドライブしてただけだ」
男が駆け寄りそう答える。
「ドライブ?こんな時間まで?」
そんなの誰が信じるだろうか。
笑える。
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