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「君の裏切りが彼女を決壊させたんだ!」 違う…裏切ったのは…結だ。 「それがなぜわからない!?」 先に裏切ったのは… だけど、それは… 「彼女は君の所有物じゃない!」 頭を鈍器で殴られたような感覚だ。 「支配しようなんて間違ってるし、君のサンドバッグでもない!!」 身体中の力が抜けていく、男に突き離される。 「彼女をちゃんと見ろ!君が傷付けてボロボロにしたんだ」 ナゼか息が上がっていて、俺は視界を結の足下に定める。 「それでも、君を思って泣いていた」 見るのが少し恐いと感じながら、視線をあげて結を見る。 結は怯えた目で俺を見つめていた。 額の傷が痛々しくて、俺の記憶している結とは違う。 小さな女の子に見えた。 誰がこんなにしたんだろう…。 俺か? いつから? どうして? どうしてこうなった…? 「すみません、ちょっとよろしいですか?」 警察官の姿が目に入った。 おっさんと何か話している。 俺はボーッそれを見詰めた。 頭が混乱していた。 さっきまでの苛立ちは消えていて、身体が急激に冷たくなる。 とにかく、もうおっさんと話たくなくて、結とも何を話したらいいのかわからなくて、俺はその場を離れた。
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