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行く宛もなく、夜の繁華街をただ歩いた。 賑わう中に、俺はただ1人フラフラ歩き進む。 結の姿が頭から離れない。 身体も心も傷ついていた。 誰がそうした? 「おい!」 行き交う人にぶつかり、声を掛けられたかと思うといきなり殴られて地面に倒れこんだ。 「ボケッと歩いてんじゃねぇぞ!」 そう罵倒された。 左頬が痛い。 見上げると柄の悪い男3人組が俺を見て笑っていた。 「あ?やんのか?」 そう言われた。 頭の中で、何か切れたような感覚。 俺は無我夢中で奴等に殴りかかった。 満身の力を使い、3人を殴り蹴り飛ばす。 周りの悲鳴。 さっきまで息巻いていた奴等が、血だらけになっていく。 「やめろ!わ、悪かったって」 何をどう言われても身体は止まらなかった。 1人に馬乗りになり、何度も何度も殴り付けた。 俺を止めたのは、警察官だった。 何人かで取り押さえられる。 俺は空を仰いで地面に寝そべった状態で取り抑えられた。 星一つ見えない夜空。 見えるのは野次馬や、何かを言っている警察官、そして街の街頭や建物の一部だった。 その先にある真っ暗な夜空。 結を思う。 結をあんな風にしたのは… 俺だ。 俺がズタズタにしたー
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