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ーー…… 母親にわざわざ迎えに来て貰って、俺は家に戻れた。 「警察から電話がかかってきた時はビックリしたのよ。飛んできたんだから」 母は家に着くなりそう話し出した。 「相手方も被害届は出さないし、初犯だからって今回は何もなかったけど、あなたいくつなの!」 母は俺を追いながら話し、俺は部屋に入るなり着替えをはじめた。 「一輝!?」 「悪かった…」 俺は着替えながら謝った。 母を見ると、目を丸くしてる。 「母さんしか頼める相手が居なくて…」 そう話すと、母は俺の至近距離までやってきた。 「結ちゃんと何かあったの!?」 深刻そうに問い掛けてくる。 俺は着替えを済ませて、ベットに腰を掛けた。 母に来て貰えばこうなることは安易に想像できた。 だけど、今回は結を頼るわけにはいかなかった。 「一輝、あなた彼女のことどう思ってるの?大切に思ってるならちゃんとけじめをつけなさい」 「けじめ?」 「結婚しなさい!」 あまりにも真剣に話す母。 俺はその顔を見て笑ってしまった。 「一輝?」 「結婚なんて出来るかよ。仕事も金もないのに」 「何?仕事がないってどう言うこと?転職したんじゃないの?」 母親の問い掛けに、俺はデスクのパソコンを指差した。 「あれで金儲けして、失敗した」 「何?」 「大損だよ。結に金借りて、何とか凌いだ」 母親は顔色を変えた。
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