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ー夕方、母親は実家に帰って行った。
俺に実家に帰るように何度も説得した母親。
とにかく今はそんな気になれなくて、近日中には帰ると約束して帰って貰った。
そもそも俺は何しに東京に出てきたんだったっけ?
ベッドに寝転がり、天井を見つめながら考えた。
弟の申し出により、医者にならなくてもいいと理解した俺は、急に進路変更をした。
とにかく、大学に行けば何となくやりたいことも見えてくるだろうと思って、国内で一番の大学に進学した。
都会に出て独り暮らしをしながら大学生活を謳歌。
とにかく、遊んだ。
就職も都内の大手に採用されて、特に苦労しなかった。
と言うより、何も考えずにただ給与や待遇だけで選んでいた。
全部がゲームみたいな感覚で、クリアすれば満足して、次の新しいものをさがしていた。
そんな、行き当たりばったりの生き方なんて続くわけない。
面倒臭いことは背を向けて、新しいものを探していた。
頭は使って生きてきたけれど、気持ちなんて置き去りだった。
自分の気持ちも、
俺に関わる相手の気持ちもー
“彼女をちゃんと見てみろ!君が傷付けてボロボロにしたんだ!”
“それでも君を思って泣いていた”
一番傷つけたのは、結だー
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