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結から連絡が来ないまま時が過ぎる。 時間は豊富にあった。 家で快適に仕事を出来るように準備した。 パソコンも買い増やしてみた。 はじめてみると、意外と簡単儲けれた。 1日で備品を準備した分の金が戻ってきた。 楽勝だと思った。 浮き沈みはあったけれど、損することはなく俺は軌道に乗った。 親にも連絡してみた。 仕事を辞めたこと、新しく仕事をしてること。 「ちょっと待って一輝!転職したってこと?あなた…これで何回目!?」 母親の受話器から聞こえる発狂に近い声。 「何が不満で…。今どんな仕事してるの?」 「心配いらねーよ、また連絡する」 早々に電話を切った。 冷蔵庫からビールを取って開ける。 母親からの着信。 俺は無視してビールを飲んだ。 どうしてこうもみんな転職に目くじらをたてるんだろうか。 俺の人生だ。 好きにさせろよ。 ―結と喧嘩別れしてから1ヶ月なんてすぐだった。 そろそろ人肌恋しくなっていた。 こんなに強情だったっけ? お前が来ないなら、浮気してやろうか? スマホに入ってる結の写真を見て問いかける。 写真を見てたら母親からのメールが来た。 ≪そちらに向かってます。ホテルに宿泊しますが、話があるので時間空けておいてください≫ 「はぁ!?」 思わずベットから起き上がる。 母親はいつも突然行動に起こす。 俺の予定とか無視なのか? そして、また通知音。 結からのLINEだった。 ≪元気?≫ 今、元気なくなったよ。 何でこのタイミングでそれを聞く? 俺はため息をついた。 また通知音。 ≪今日いっていい?≫ 何なんだ!? おまえらグルなのか!? 俺は面倒くさくなって、パチンコに出た。 その日は半日をパチンコ屋で過ごした。 ただボーッ玉を見てたら、母親と結がバッタリ会うかもと思った。 「まさかな…そんな偶然ねぇか」 タバコをくわえて火をつける。 そんな偶然が起きてるとも知らずに。
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