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「えっ?」
勇輝は俺に叩かれた頭を手でおさえながら俺を見る。
「俺、やっぱ医者目指すわ」
俺のとんでもない発言に勇輝は目を丸くする。
「今から!?」
「あぁ。安心しろ、小児科医には興味ないから」
「えっ?無理でしょ?」
「やってみなきゃ、わかんねぇだろ。早く車出せよ」
勇輝は俺に急かされながら、ハンドルを握る。
「今の話、フィクションだよね?」
勇輝は動揺を隠しながらハンドルを握り、問い掛ける。
「ノンフィクションだよ。お前、早く帰ってシート片付けないとシミになるよ?」
「えっ!?」
「お前は昔から偉いよな。破水覚悟で愛車に赤の他人乗せられるんだから。俺だったら絶対乗せない」
「…破水は予想外だよ」
「医者だろ?予測しろよ」
「洗うの手伝って」
「イヤだよ」
「兄ちゃん!!」
後悔のないように生きようと思った。
迷惑ばかりかけてきた。
ワガママ放題生きてきた。
今さらいい子にはなれないけれど、せめて自分に出来る精一杯をしようと思った。
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