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「何してるの?」 お互い同じ問い掛けをして声が重なり、笑えた。 「今から実家に帰るところ」 そう答えた結。 「俺も出先から実家に帰るところ」 俺もそう答えた。 お茶でも誘いたいと思ったが、今の俺にそんな時間はなかった。 バスで帰らないか誘ったら、結は頷いてくれた。 二人でバス停に並んで待った。 「誰の結婚式で帰ってきたの?」 綺麗に編み上げたヘア、コートを羽織っていたが、ドレッシーな姿はわかった。 誰かの結婚式で帰省したのだと推測した。 「妹。さっきまで披露宴で伯父が酔っぱらったから駅まで見送ったの」 結の妹は知っている。 彼女、結婚したんだ。 「へ~。先越されたんだ」 「一輝がそれ言う?」 二人で顔を見合わせて笑う。 確かに、俺がそれを言うなって台詞だった。 「一輝は何してるの?」 結の問い掛けに、一瞬言葉を詰まらせるも、黙っておく話でもない。 「来週試験だから、ちょっと…」 と正直に言ってみた。 「試験?」 結は何の試験か考えているようだった。 バスが来たので二人で乗り、一番後ろに隣同士座った。 「医大にチャレンジしてる。今年合格するかわかんねぇけど」 あまりにも真剣に考える彼女に、正直にぶっちゃけると、目を丸くして俺を見る。 「お前がはっぱかけたんだろ」 あまりの驚きように言葉が出ないのか、結はフリーズしていた。 「引くなよ」 あまり驚かれると地味に傷付く。 「引いてないよ!」 結は嬉しそうに声を上げて言った。 彼女は興奮したように目を輝かせて俺を見て何度も頷いて笑顔を見せてくれた。 医大受けるって言っただけなのに、こんなにも嬉しそうにしてくれるのか… 「あ~ぁ、なってから知らせる予定だったのに」 照れ隠しでそう言って窓の外を見た。 「合格したら知らせてね」 弾む結の声。 「合格したらな」 窓の方を向いたままぶっきらぼうに答えた。 結のこんな嬉しそうな顔、久々にさせた気がする。
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