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これで、もう一度と願うことは出来なくなった。 自分で自分に終わりを告げたような感覚だった。 ある意味スッキリした。 俺はさっきまで結が座っていた席を見つめた。 後悔がないわけじゃない。 いつか、自分の手で幸せにしたいと思っていたのは確かだった。 タイミングだとか、 甘えだとか、 自分の中の踏ん切りが全くつかなくて、 先延ばし、 見ないふり、背中を向けて、生きてきた。 結果、結を失った。 自分勝手な気持ちばかりを優先したつけだ。 代償は大きい。 自業自得だけど、 結を巻き込んだまま地獄に落ちなくて良かった。 ならば、あのおっさんに感謝するべきなんだろうか? そんなこと、 口にはしないけれど。
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