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これがいつもの三村家の日常であった。
だからこそ、今日の妻は変だった。
「真梨子、一体どうしたんだ?」
真梨子は顔を上げ、彼を見つめて……にっこり笑った。
「だって、ぎゅってしたかったんだもん。まーくんのギュー欲しーよ」
だもん!?
真梨子は媚びた言葉遣いが嫌いだ。
他にも、抱きしめて欲しいなんて付き合っていた時ですら言ったことない。全体的にツンツンしている。
「まーくん、はやくはやくー。でね、その後」
「なんだよ?」三村は言った。
「まーくんとチューするの。えへー、チューだ。私、まーくんとチューするために生まれてきたの」
おい、正気か。
三村は頭を抱えた。劇的に変わった妻になにか思い当たる節があったか。考えを巡らせる。
そして、一つの特異な感染症を思い出す。
まさか真梨子は『本音症候群』に罹ってしまったんじゃないだろうか。
2人は病院へ行くことにした。
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