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◇◇◇
ギギギギと金属の擦れが、ファンシなーメロディと共に2人を空へ運ぶ。
2人は今遊園地内の観覧車に乗っていた。
真梨子がここに行く代わりに病院を我慢すると言ってきかなかった。
「まーくん、病院行ったよね。約束のチューだよ」
そっぽを向く。
この観覧車に乗る前に、周囲からの好奇の視線で三村は耐え難い苦痛を感じていた。
真梨子がキスをねだるなんて、付き合う前も付き合った後からもなかった。
「やだよ」
「うえ……ぐすっ。チュー、まーくんの唇がいいの。柔らかくて、キュンキュンするの。誰も見てないよ」
真梨子はべったり三村にくっつく。
「たとえ、観覧車の中でも俺はしないよ」
「むー」ぷくぷくと彼女の方がふくれる。
お前、本当にこんな事がしたかったのか。
三村は真梨子の幼稚さに呆れながらも、彼女にストレスを貯めないよう、渋々彼女のわがままに付き合った。
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